3月28日 写教の会を開催しました
今回は天親章の「広由本願力回向 為度群生彰一心」について見ました。「本願力回向」の、回向というのは、めぐらし差し向けるという意義です。この回向ということをどのように考えるのかということが親鸞聖人の教えの特徴ともいえます。
親鸞聖人は、「自力の回向心」という事をいいます。これは、自らの善根、例えば厳しい修行をするであるとか、お布施を沢山するであるとか、寺院を建立するという行いを積んで、それらを救いのたすけとしてめぐらし差し向けるということです。この「自力の回向心」は親鸞聖人の課題でありました。つまり、そのような善根を積めない人はどのように救われていくのか、そして、自らが善根を積んでいけると思うその心は果たして正しいのかというような課題が親鸞聖人にはあったわけです。親鸞聖人は自分には清浄な回向心などないのだと頷きますが、その親鸞聖人に光を射したのが、天親菩薩の語る本願力回向の教えでした。それは、めぐらし差し向ける主体の転換ということです。「自力の回向心」の主体は私たち人間ですが、「本願力回向」の主体は阿弥陀如来ということです。こちらから回向するのではなくて、既に人間の回向に先立って阿弥陀如来が私たちに真実の心を回向してくださっている。この頷きが親鸞聖人の教えの特徴と言えるかと思いますので、皆さんも大切に確かめて頂ければと思います。その確かめが実は次に出てまいります「一心」なのです。本日のところは来月もたずねたいと思います。
次回は4月18日(月)14時~になりますので、お時間ございましたらご参加ください。